Frozen Love
『お願いします。

ほんの少しだけでいいんです』


この日、とうとう由綺の両親が折れてくれた。

“あの子の眠っている間に少しだけなら……”と。


久しぶりに見た由綺の顔は、怖い夢でも見ているのか、少しだけ苦しそうに見えた。

触れていいはずもないのに手を伸ばし、右手で彼女の頬を包み込む。


錯覚かな?

手が触れた瞬間、少しだけ由綺の表情が和らいだ気がした。


許された時間は30分。

あっという間だった。


俺は由綺の瞼にそっと唇を落とし、由綺の部屋を後にした。



会ってはいけなかった。

触れるべきじゃなかった。

触れれば愛しさが溢れ出してしまうから。

目が見たい、声が聞きたいと思ってしまう。

もう会うのはやめよう。

そう思った。


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