Frozen Love
今の両親に初めて会ったのは、小学6年生の時だった。

1月中旬の雪がちらつく寒い日、二人して孤児院にやってきたのだ。

跡継ぎになるべき子供がいない彼らは子どもを引き取らせてほしいと言ってきた。


“なるべく頭のいい子がいい”


そう言っていた。


そこで俺が院長先生に紹介され、中学に上がると同時に引き取られた。


大きな家での贅沢な暮らしは、それまで院で生活していた俺にとって不慣れで退屈なものだった。


自分でできることは自分でやりたかったのに、両親には“君は家のことや身の回りのことは何もしなくていいんだよ”と言われてしまった。

何も言わなくても用事を勝手に済ませてくれる使用人たちは俺にとってありがた迷惑だった。

することを奪われ、無為の失望の中、広い部屋でひとりで過ごす毎日は俺にとって苦痛以外のなにものでもなかった。


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