white sky ―空白―
(メールか……)
教室でのロングホームルーム中。
歪は携帯を開き、その内容を確認する、
(終わったか……でもあいつ、帰り道わかってないな…)
寒夜は極度の方向音痴である。
普通なら帰って来てはいない。
頬杖をつき、携帯をいじっている歪を、担任は見てみぬふりだ。
そうしているとホームルームの終わりを告げるチャイムがなった。
「で、では、明日から一緒に頑張りましょう!」
その言葉を合図に、教室は騒がしくなった。
「歪ー!帰ろうぜー!」
「あぁ」
廊下は帰ろうとする生徒たちで溢れかえっていた。
それをかきわけながら下駄箱まで向かう歪と直。
もう少しでたどり着くというところで、流れに逆らって、向こうから歩いてくる女子がいた。
うつ向いて、右手を口元に沿え、くすくす、と笑っている。
「自分から“情報屋”を名乗るなんて馬鹿みたい…あなた、きっと死んじゃうわ……」
歪に話しかけるでもなく、独り言のように呟いて、廊下の人混みに消えてしまった。
振り返ってみても、その姿を見つけることは出来なかった。
「歪?どした?」
下駄箱を前に、立ち止まっている歪を心配したのか、直が戻ってきた。
「いや、なんでもない」