鉄壁魔王と勇者
そっと、魔王の頬へと手を伸ばし、柔らかく撫でる勇者。

「無理矢理は、好みじゃないんだけど、でもね…」

君に、どうしても触れてみたくて。

頬を触っていた指が、唇をかする感触に、魔王はピクリと体を震わす。

ここまで無礼な振る舞いをされたのは、初めてだった。

魔王は、近付いてくる勇者の顔を、精一杯身をよじって避けようとした。
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