鉄壁魔王と勇者
魔王の虚ろな瞳が、自分を映していない事を悟ったからだ。

(こんなつもりじゃなくて、ただからかうだけのハズだったのに)

後悔が、勇者の胸を焼く。

掴んだ腕が思ったより華奢だったから…とか、撫でた頬や唇が思ったより柔らかく甘い感触だったから…とか、首筋の白さに目が眩んだ…とか、顔を近づけた時の甘い香りが…とか。

言い訳にならない思いが、心をよぎる。
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