苦くて甘い恋愛中毒
「なんでそうなんだよ。どうでもいい女を、なんの意味もなくつれてくわけないだろ」
じゃあ、なんのためにそんなことするの。
こんなことを言われて期待しないわけない。
家政婦でも、都合のいい女でもなく、ただの女として私が必要だと、そう言ってくれるんじゃないかって、そんな愚かな夢を見てしまいそうになる。
「私は、要にとってどうでもいい女じゃないって。そう思ってもいいの?」
「そもそも、なんとも思ってない女と3年以上も関係続けると思う? 本当にどうでもよかったら、二度と連絡なんかしない」
まっすぐ私の目をみて、優しい声でそういうから。
たとえ嘘でも信じてみたい。そう、思ってしまった。
「そうは言ってもさ、なんの関係のない人間を連れてくわけにもいかないし。戸籍ごと連れてこうと思うんですけど、いかがですか?」
少しおどけた風に言って、私の手を取り、その指で私の薬指をなぞる。
「……結婚ってこと?」
「それなら、連れてってもなんの問題もないだろ?」
私は、今どうやらプロポーズとやらをされているらしい。
世界中どこ探したって、こんなプロポーズ絶対にない。
でも、今この瞬間、私は世界中の誰よりも幸福だと思った。