苦くて甘い恋愛中毒


現在十三時十五分。

まだ少し余裕があるけど取材先へ向かおうと準備を始めると、後方から私を呼ぶ声が聞こえた。
我らがボス、真鍋編集長が笑顔で手招きをしている。


「今から取材行くんでしょ? 企画もいよいよ大詰めだからね。気抜かないで頑張って」

編集長からの激励の言葉。
これは頑張らないわけにはいかない。
背筋がピンと伸びるような気がした。

彼女は我が誌を率いる敏腕編集長でありながら、四歳になる娘さんを育てるシングルマザーでもある。
雑誌編集者という職業柄もあり、とても三十代半ばとは思えないほど若々しくておしゃれだが、可愛らしい見た目とは裏腹にすごくパワフルで頼りになるキャリアウーマンだ。

〝twinkle〟は真鍋編集長のパワーとガッツでここまで成長したと言っても過言ではない。


「行ってきます!」

声をかけて、編集部を出ていく。
いつも自分に自信を持たせてくれる心地良いヒールの音を聞きながら、私は取材に向かった。

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