苦くて甘い恋愛中毒
後悔
もうすでに辺りは漆黒に包まれている。
それもそのはず、仕事が思っていたより長引いてしまい、もうすでに十時を回っている。
取材が終わったのが五時過ぎで、それから編集部へ戻り、原稿を進めていたらいつのまにかこんな時間になっていた。
ずっとパソコンと睨み合っていたからか、なんだか視界が霞んで見える。
とにかく一刻も早く家に帰り、眠ってしまいたかった。
今日だけはどうか、要から連絡が来ませんように。
たとえどれだけ疲れていても、要から呼び出しがあれば私はきっと行ってしまうから。
これが惚れた弱みってやつか。
鍵を開けて中に入ると、すぐにベッドに突っ伏した。
――だめだ、このままじゃ絶対に寝落ちしてしまう。
メイクを落とさないまま寝てしまうと、次の日はもう悲惨のひとことだ。
化粧ノリは最悪だし、肌は荒れてできものまでできる始末。
初めてこれを経験したとき、自分も歳をとったなと感じたものだ。
自分ではまだまだ若いつもりだけど、二十五歳を目前にした肌は敏感に感じ取る。
重い体を無理矢理おこして風呂場へ向かった。