苦くて甘い恋愛中毒
出逢い
重い瞼を上げたのは眩しい光のせいだった。
いつもはカーテンを閉めて寝ているのに、その時点で様子が違うことに気づかなかった自分が馬鹿に思えて仕方ない。
尋常じゃないくらいの頭痛に思わず顔を歪ませる。
だるい体をなんとか起こして、半ば無理矢理神経を機能させようとした。
しかし、どこをどうみてもここは私の部屋ではない。
物がなさすぎるこの部屋は、シンプルを通り越してむしろ殺風景だ。
ここはいったいどこなのだろう。
あのいかにも趣味の悪い、所謂ラブホではなさそうだから、少なからず安心した。
尚も続いている頭痛をこらえ、昨日のことをなんとか思い出そうと、記憶を辿る。
朋佳と別れてカフェテリアを出たあと、とくに意味もなく学内をうろついてみたりしたけれど、どん底まで落ちた気分は、そう簡単に回復するわけもなく。
気晴らしのために出かけたいつもは大好きなショッピングでさえ、浮かれた人や街に余計苛立ちを募らせることになった。
結局、6時になる頃に食事を兼ねてひとりで居酒屋に行き、ビールを豪快にやったけど、全然飲み足りずバーに向かったところまではなんとか覚えてる。
で、その後どうしたんだっけ?
理性を麻痺させるには十分すぎるほどのアルコールを摂取したのだ。
残念ながらその後の記憶が全くない。