苦くて甘い恋愛中毒


「あぁ、酔っ払いの子?」

「……そうです。ご迷惑おかけしました」

酔っ払い……。
言い返せないのがくやしい。

中へ入ると、朝と一ミリも変わってない散らかった部屋。
関係などないというのに、片づけたくなってしまうのはA型人間の性というものなのだろうか。


「あー、散らかってるだろ。片付ける暇なくてさ」

私の視線に気づいたのか、適当に辺りを整理するポーズをとる。

「いえ。それより……私はいったいどれほどの醜態を曝したのでしょうか」

ひどく怯えた風の私に、吹き出して笑う。

――この人、こんな風に笑うんだ。


「別にそんなでもないよ。マンション戻ってきたら路上で倒れてて、放っとくわけにもいかないし、住所聞いても意識ないし、携帯も切れっぱで連絡もとれないし。しゃーないからそのまま寝かせといた」

うわぁ。うわぁ。うわぁ。

ひどい!
ひどすぎる! 

目の前の男の顔なんてとても見れなくて、そのまま俯くしか術がなかった。

「……なんか、もう本気でごめんなさい」

このまま土下座でしたい気分だ。
いや、いっそ穴に入りたい。


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