苦くて甘い恋愛中毒
すき?
あれからあっという間に2週間が過ぎた。
久々にバイトが休みだったので、積もり積もった疲労解消のため、今日は朋佳と買い物の約束をしていた。
ここのところ頑張っていたおかげもあり、予想以上の収入が入ったのだ。
自分へのご褒美と称して思う存分ショッピングを楽しんだ。
しかし、一緒に来ていた朋佳はそんな私を別の意味で捉えていたようで、心配そうに切り出した。
「菜穂ちゃん〜、大丈夫なの?」
「大丈夫って何が?」
ホワイトソースがたっぷりかかったカルボナーラを次々と胃の中に収めていく私を見て、ため息をつきながら続けた。
「総吾くんのことだよ! 平気なフリしてるけど、ほんとは引きずってんじゃないの? 今日だって、ストレス発散みたいにこんなに買い込んでさ〜……」
――ソーゴ?
誰それ? と素で聞き返しそうになった。
思い出したくもない記憶を、無理矢理辿ってみると、その人はおそらく私の元彼氏様。
私を捨ててきゃぴきゃぴした若い女に乗り換えた最悪の男のことである。
「今の今まで忘れてたわ。引きずってなんかいないし、あいつにそんな価値もない。こんなに買い込んだのはバイトを頑張った自分へのご褒美」
意外と裕福で坊ちゃんだったあいつが、クリスマスに誕生日、記念日と、実に様々な理由をつけて買ってくれたプレゼントも、数日後にはすべて処分した。
そんな非情なことが簡単にできるほど、私の中で彼の存在はもう過去のものになっていた。
たとえあの日、私がフラれてなくても、多分、私たちが別れるのは時間の問題だったんじゃないかと思う。