苦くて甘い恋愛中毒


途中で見つけたスーパーで適当な食材を買い、マンションへ向かう。

無事にたどり着いたはいいが、相変わらずの頑丈なセキュリティを前に成す術もなく立ち尽くす。
どうしようかと思っていると、まるでタイミングを見計らったように、鞄の中でバイブ音が鳴った。


『もう少しかかる。適当に入って待ってて』

リビングへと続くドアを開けると、暗闇と静寂だけが広がっている。

そこにはまったく変わらない、殺風景な少し散らかった部屋があった。
まるでこの部屋だけ時間が流れなかったんじゃないかと、錯覚するほど変わらない空間。

そんな中で私が片付けたキッチンだけが妙にきれいで、この部屋に私の存在があることが、なんだか少し嬉しかった。


要さんが帰ってくるまでに何とか料理を終わらせたい。

今日のメニューはカレーだ。
無難だけど、作り置きしておけば忙しい要さんでも温めるだけで食べれるんじゃないかと思ったのだ。

ほかにもチンするだけの白飯とか、簡単に作れるようなものもさっきのスーパーで買っておいた。

こんなもので栄養バランスが完璧になるというわけではないけど、少なくともコンビニ弁当よりはマシなはず。


――余計なお世話だって、嫌がられるだろうか?


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