苦くて甘い恋愛中毒
3章
誕生日
玄関のチャイムの音で目が覚めた。
ふと枕元の時計を見ると11時半と表示されている。
休みとはいえ、ちょっと寝すぎたな。
でも、こんなにゆっくり寝たのはいつぶりだろうか。
だから、あんな思いがけない夢を見たのかもしれない。
三年前のことをあんなにきちんと思い出したことなんてなかった。
知らず知らずのうちに思い出すことを避けていたのかもしれない。
寝ている間に泣いたのか、目にはまだ涙が残っていたけど、私は温かい気持ちでいっぱいだった。
三年前の私は、ただ純粋に要を想っていた。
それだけで幸せだった。
でも、人間はとても欲深い生き物で。
時間が経って慣れを覚えると、もっともっとと思ってしまう。
それは仕方のないことかもしれないけど、それじゃ本当に大切なものを見失ってしまう。
要が好き。
要の側にいたい。
出会った頃の純粋な気持ちを思い出して、私はやっぱり彼のことが大好きなんだと再確認した。
こうなることはあの時に覚悟したはず。
何が不満だったんだろう。
自分で選んだ道なのに。