苦くて甘い恋愛中毒


家に帰ってシャワーからあがると、理恵から連絡が来ていた。

『30分後に駅前のスタバ集合。あたしを待たせたら、プレゼントはないと思ってね』


いかにも、理恵らしい。
人の都合なんてお構いなしだ。

要といい、理恵といい、どうしてこんなにも、私のまわりは身勝手な人ばかりなのか。

クローゼットから適当な服を取り出して、化粧もそこそこに家を出た。

(理恵を待たせたら後が怖い)


「ごめん、待った?」

「待った。それにしてもその格好なに? いくら相手があの男じゃなくてあたしだからって気抜きすぎでしょ。あんた、雑誌編集者の自覚あんの?」

すいません、と頭を下げる私の前にすっと紙袋が差し出された。
私の好みを完全に熟知した親友からの最高の誕生日プレゼントだ。

Gのロゴが印象的な、私の最愛ブランドのピアスに、場所も忘れて声を上げそうになった。


そろそろ歳を重ねるのが純粋に喜べない年齢になってきたけど、こんなにハッピーなら、誕生日も悪くない。

誕生日だから、と言う名目でさらにカフェオレとケーキまで奢ってもらい、そのまま世間話を続ける。


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