苦くて甘い恋愛中毒


「あたしはさ、別にあんたの恋愛を批判する気はないわよ。ただ、もうあんたが泣いたりしてるのを見たくないの。ただ、幸せになってほしいのよ」

理恵の言葉に偽りなんてないと思う。

本当に、私の周りの人はどうしてこんなにも優しいのだろう。
みんなして私を甘やかすんだから。


ありがとう、と心の底から感謝の気持ちを伝える。
その偽りのない私の笑顔を見て、理恵もようやく同じように温かく微笑んでくれた。


テーブルの上で理恵のスマホが震える。
画面に表示されているのは、先ほど話題に上がった理恵の恋人だ。

この根っからのビッチに引っ掛かった哀れなかわいい年下王子。名前は確か、カズマくん。

何だったの? と聞くと無言でスマホを突き出してくる。

『理恵ちゃん、今すぐ会いたい。電話でもメールでもいいから、連絡して』

なんてストレート。
若さってすごい。

これだから年下は、なんて物草言ってるけど、理恵も意外とまんざらじゃない様子。

案外、ベタ惚れなのは向こうだけじゃないのかもしれない。
こんなこと、口が裂けても言えないけど。


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