苦くて甘い恋愛中毒
都合のいい女
デスクで大きな欠伸をひとつ。
今日の取材は午後からだが、午前のうちは社に残って原稿を進めなければならない。
ただでさえ寝不足だっていうのに、もはや拷問以外の何ものでもない。
昨晩は取材なんて体が保たないと思ったけど、眠気に勝つにはそっちのほうがよかったかもしれない。
とはいえ、完全に自業自得だし、そんなことを考えても仕方ない。
私は〝twinkle〟という雑誌の編集者をしている。
恋に仕事に忙しいリアルな二十代女子のバイブルとなるべく、日々働いている。
入社して早三年。
アシスタントや小さな記事をやってきたが、このたび巻頭特集を任せてもらえることになった。
正直、今回の記事に懸けるものは大きい。
『自分の書いた記事を、ライフスタイルの参考にしてもらいたい』
そう夢見て、編集者になり奮闘してきたのだ。
寝不足だって。
残業続きだって。
プライベートを削られたって。
夢が叶うと思うと頑張れる。