苦くて甘い恋愛中毒
盛り上がっているふたりを、ただ呆然と見ていた。
見れば見るほど綺麗なのはあなたの方じゃない。
要と並ぶ姿があまりにもお似合いで、仕事上の関係とはいえ、お互いに信頼し、仲がいい様子がいやというほど伝わってくる。
これ以上見ていたくなかった私は、思わず目を逸らした。
相沢さんは、彼女のふわふわとした雰囲気にぴったりの、桜貝のような淡いピンクのドレスを纏っていた。
それは私がいちばんに気に入ったものの、似合わなくてあきらめたものだと気づき、関係ないと分かっているのにどうしても悔しさが消しきれない。
似合わなかったドレスに。
要の隣に並ぶ姿に。
ただの勝手な妬みで、彼女にはなにひとつ関係ないことなのに、嫉妬心が湧き上がって仕方がない。
嫌な感情に押しつぶされそうになり、化粧室へ逃げた。
鏡に映る自分を見つめ、自己嫌悪に陥った。
あんなに気さくに話しかけてくれたのに、勝手に嫉妬して、挙げ句こんなところへ逃げ込んで。
もともと初対面の人が得意なタイプではないけど、今日の私は誰が見たって嫌な女だと思う。
もう、帰りたい。
これ以上あの場にいたくない。
せっかく楽しみにしていたパーティーだったのに、どうしてもそんなことばかり考えてしまう自分に、さらに嫌気がさした。