恋水 -koimizu-
出逢い
あれは…何時だったっけなぁ。
……ああそうだ。
小3の時だったなぁ。
あたしは初めて君に出会い。
君は初めてあたしに出会った。
「愛知県の●●小学校から来ました、藤田アキラです。よろしくお願いします」
その声はやけに低く、尚かつ甘い声で。
ペコリと頭を下げる可愛らしい姿とのギャップに少し驚いた。
「えーっ、藤田君は……3年C組に入ります。皆さん、仲良くしてくださいね」
校長先生が言うと、みんなが声を合わして「はーい」って返事してた。
その後も複数居た転入生の自己紹介中、ずっとずっと指先をいじって遊んでた君を、
『可愛いなぁー』
って、純粋にそう思った。
……そんな4月を終え、7月。
3ヶ月ともなると、すっかりクラスに馴染んで、ギャーギャー叫んでは怒られていたね。
『3年C組魔のトリオ』
っていう名前が付いちゃうくらいだった。
「何でそんなことするん!!」
と怒る先生を見ては面白がって、『次は何する??』とか計画でも練ってたのかな。
8月というと、夏休み!!……だけど、私達には他の行事への期待があった。
夏祭り。
町民の人達にとって、最高のイベントで、昼間は出店、夕方頃はカラオケ。
そしてなんといっても外せないのが夜の花火……。
ドンッという力強い音を奏でながら夜空に咲くあの花火は、夏祭り一番のイベントで、友達の噂によると、これをカップルで見に来る人や見ながら告白する人も毎年いるとのこと。