なまけもの
「こんにちは!天部のものです!」
般若か修羅の表情から一変、キャルンとかいう効果音がするような笑みをたたえヤクz…に見えた青年はぺこりと一礼した。
実に素晴らしい変わり身の速さである。
「えと…てんぶ?」
「はい~、私そこにおわしますかs…最高神の部下になります」
「え?え?サイコウシン?部下?」
聖は混乱している。
聖は混乱の余りスルーしたがこの自称部下、上司の事をカスと言いかけたような気がする。
「…で、何しに来たの?」
もはや空気と化していた零は取り敢えず状況を打破するため、何時になく重い口を開いた。
「――は?」
にっこり、爽やかな笑みはそのままに、ブルーグレーの瞳にほの暗い影を纏い小首を傾げた。
「いや、だから」
「は?」
取り付く島もないとはこの事か。零は若干涙目だ。
「執務を、放棄して、逃亡して?下賎な下に墜ちて?汚れが付くのも厭わずわざわざ、わざわざ迎えに馳せ参じたこの私に言うに事欠いて何故来たのか問うのか貴様は」
一息にそう言い切る自称部下に零は苦虫を四五十匹噛んだかのような顔をして眼を反らし―
何故コイツを寄越したのか、下手すりゃ人類滅亡すんぞ。
現実逃避をし始めた。