ペットショップ MARIMO

カウンターに入り込んだ店員は、何が照れくさいのか、後頭部をポリポリと掻きながら言う。

「カジかにゃ? カジはカジだにょ」

「なぜ照れる…」

名前を聞いたわけでは無かったのだが、それを否定する気も失せてしまう。

ちゃぽん。と音が聞こえたかと思ったら、空から亀が降ってきた。

「カジ様では話が通じませんので、私が」

自分よりもデカい亀を見たことがない葉瑠は、思いっきり腰を抜かし、座り込んでしまった。

「カジ様は、特殊な能力を持っておられまして、人間に変身できるネコで御座います。ちなみに私はカメです。」

「………」

「………」

「…い、いや、亀以外に見間違うほうがすごいし」

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