ペットショップ MARIMO

次の仕事を選び直しているのか、カウンターの引き出しをあさり続けているカジ。

暇を持て余しながら水槽の中を覗く。水中で動かなかったシンシが砂浜にゆっくりと登ってきた。そして、目を閉じ休憩。

『亀って実は見てると飽きないかも』

シンシから視線をはずしてカウンターに背中を向ける。
カウンターを背もたれにしてあまり見ていない店内を見回そうとした。

見えたのはラックのキャスターだった。

「わっ! って、一言何か言ってからやりなさいよっ!」

振り向いて睨みを利かせてやろうと試みだが、木製のカウンターが全てを遮断している。

「聞いてんの?!」

仁王立ちになり、カウンター越しに叫んでみるが、反応がない。

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