ペットショップ MARIMO

「あれ? 涙、あたし?」

本人が一番驚いていたようだが、少しの不安も取れたように見える。

「大丈夫ですの?」

ゲージ越しに真珠が話しかける。

「大丈夫。この間会った熱帯魚が、死んじゃって…ちょっと気持ちが張り詰めちゃってたのかも。ごめんなさい」

不安な表情から一転。笑顔を真珠に見せる。

「でもね、その熱帯魚に、あたし勝手に餌をあげちゃったの。それが理由かもしれないんだ。」

自分の所為だと疑わない葉瑠。真珠は困ったように葉瑠を慰める。

「あたし、食べ物で誰かが死んじゃうの、もう嫌だから、真珠も、味が薄いかもしれないけど、もらったご飯をちゃんと食べてほしい」

< 77 / 108 >

この作品をシェア

pagetop