今宵の月は美しい【完】
「梨沙は好きって言ったの? 
じゃあ俺、は君に『先生愛してる』、って言って貰おうかな」

「夢だよ、夢の話!」

バカなことやめてよ!

学校にバレてここに来れなくなったりしたら、そっちの方が大変だ。

「…そのうち、ね。ごちそうさまでした」

中鉢はニヤリと笑って、合掌した。

私はその話はすぐに忘れたけど、中鉢は覚えていたらしかった。

でもこれは、もう少しあとの話。





しばらくして久々に呼びだしたら、イケメンは苛々としていた。

「畜生、なんかスッキリしないわ…」

なんですか、それ…。
エア煙草?

昼休みの第一音楽室は、今日も平和です。

こいつが機嫌が悪いのは、なぜだかわかってる。

親友を梨沙に取られて、寂しくて仕方ないのだ。

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