今宵の月は美しい【完】
一夜漬けの天才なんだろうね。

「初めてやった日の少し前にさぁ。
私が生徒指導室呼び出された時、しげるん来たじゃん。
あれ、なに相談あったの?」

気になってたんだけど、変に鋭そうだから中鉢絡みの話はしにくかったのだ。

でも、これだけ時間あけば平気だろう。

「……」

黙った。

やべ、何か聞き方おかしかった…?

「言いたくないなら、いいです」

「うん、別に?俺眠くて仕方なくて、睡眠障害かもしれないって言ったんだっけな」

居眠りしてるだけじゃん!?

寝過ぎるから、背がどんどん伸びちゃうんだよ。

「…。チューバチ、なんて?」

「俺に言うより、病院行けって」

そう言うよな、普通。

「でも次の日、病院のリスト書き出したやつくれたよ。あと家庭の医学?コピーしたやつ」

優しいなぁ、中鉢。

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