今宵の月は美しい【完】
わかるよ、... あなたが警戒するのも。


こいつの子供だったら、まだマシだった。

イケメンは、「俺の遺伝子は誰にも渡さん」と言って、異常に警戒していたからな。
万が一にも、妊娠なんてない。


だが、私はこれから死ぬのだ。
遺書代わりに、誰かに真実を話しておきたい。

「しげるん、聞いて」

「やだ」

私は無視して、話すことにした。

相手が誰とは言えないけどさ。

こいつならば、私を絶望の淵に叩き落としてくれて、死ぬ気が一気に上がるに違いない。




しかしなぜか、元気付けられてしまった。

ありえない。


なんだか今まで嫌な奴扱いして、悪かった。

やっぱり世界で一番性格悪いのって、私だったらしい。

私は「ちゃんと相手に話した方が良い」、と言うイケメンのアドバイス通り、生徒指導室にその足で向かった。

相手が学校にいる事知ったら、イケメン爆笑するだろうな…。

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