今宵の月は美しい【完】
口をあけたまま、彼を見上げた。

「学校でも家でもストレス溜まって、おまえみたいなのが突然死ぬことを選んだりする。
ものすごく怖かった」

サラリと私の落ちた髪を、耳にかけてくれた。

中鉢は、お化け屋敷での優しい顔だ。



もうすぐ、長かった昼休みが終わる。

「次の授業、俺だ。
最後に受けて行く?」

今日、辞めるのか…。
辞めたいなんて、私思ってたの?


言われてみると、そうだったような気もする。

でも私が辞めたら、卑怯な担任の思う壺のような気がして、そんなの絶対嫌だった。

「最後?」

「うん、もう来させない。
俺が決めたんだから、頼子のせいじゃない。
俺の子供産むんだから、それでいいでしょ」

本当に?

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