今宵の月は美しい【完】
「英語の講師時代、講義中に一人の生徒に聞きました。
『英語のI LOVE YOUは、何と訳しますか?』。
わかる?白石」
突然呼ばれた、自分の名前。
私は思い出す。
『言ってもらおうかな』
あの時、ニヤリと笑った中鉢の顔。
すごい、本当に言ってもいいの?
「貴方を愛しています」
クラスのみんなの前だぜ、照れるよ。
誰も気づかないけど。
どうせ、私が居眠りでもしてるところを起こされたとでも思ってる。
な?簡単だろう?
中鉢は笑った。
「そ。英語の授業だから、それで正解。
でも漱石は、そうじゃないって言うんだ」
私と中鉢だけの、秘密。
この中鉢のドヤ顔の意味がわかるのは、私だけ。
「日本人には『月が綺麗ですね』、とでも言っておきなさい。それで伝わるから…。ってね」
『英語のI LOVE YOUは、何と訳しますか?』。
わかる?白石」
突然呼ばれた、自分の名前。
私は思い出す。
『言ってもらおうかな』
あの時、ニヤリと笑った中鉢の顔。
すごい、本当に言ってもいいの?
「貴方を愛しています」
クラスのみんなの前だぜ、照れるよ。
誰も気づかないけど。
どうせ、私が居眠りでもしてるところを起こされたとでも思ってる。
な?簡単だろう?
中鉢は笑った。
「そ。英語の授業だから、それで正解。
でも漱石は、そうじゃないって言うんだ」
私と中鉢だけの、秘密。
この中鉢のドヤ顔の意味がわかるのは、私だけ。
「日本人には『月が綺麗ですね』、とでも言っておきなさい。それで伝わるから…。ってね」