今宵の月は美しい【完】
あれは夢ではないよね。

「どうしたの?どこか痛い?」

「心が痛いです」

「え?」

いや、いくらあなたが私を大切に思ってくれていたとしてもだね。
今回ばかりは、許せないと思います。

「あ、あは…?
生理きちゃった!」

もう明るく言うしかなくて、私は笑顔で言った。

中鉢は、さっきの私のように固まった。

「勘違いだったみたい?ほんとゴメン!」

「あー…でもちょっとそんな気はしてた。
頼子の悪阻っての、食パンしか食べてないから栄養失調だわ、それ…」

何故、パンしか食べていないことを知っている!?

まぁ、本当にそうだが。
ママ、料理してくれないし。

「最初に、聞けば良かったな…」

「そ、想像妊娠ってやつだったのかな?!
お、怒らないの?怒っていいよ!」

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