今宵の月は美しい【完】
ちょっとおとぼけちゃんだけど、ママは可愛くて、良い人だよ?

見上げた中鉢は、めずらしく苛々としていた。

「俺、怒鳴られたり、殴られる覚悟はして来たんだ」

「なんで?
ママはそんなことしないよ?」

吹田さんじゃあるまいし。

「しなくちゃいけない時もあるんだ。
頼子がやたらと大人な理由が、やっとわかったよ」

私、子供ですけど?

中鉢は溜息をついた。

「なんか、まだ子供出来てないで良かったかも。
ちょっと頼子はさ、真面目に人に甘えた方が良い」

「真面目に甘えるって、なに…」

「向こう行ったら、すぐ二人で住むとこ探そうと思ってたけど、やめた」

なんだ? 
何をママと話したんだ?


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