今宵の月は美しい【完】
「彼氏欲しい?」

「どうしたのぉ、いきなり?
それは欲しいけどぉ。
イケメンで、お金持ちで優しい人、紹介してくれるのー?」

戸川ちゃんは唇に指を当て、ウフフとした。

「…ごめん、その条件がクリアできないや。
それなければ丁度いいかな、と思った奴がいてさ」

中鉢は戸川ちゃんみたいな女子、きっと好きだ。



『いつでもおいで』

『二度と来るかー!!』

…なんて言ってしまったものの。


私の頭から、あの夜のことが離れないで困ってる。

時間が経てば経つほど思い出すのは、私をなぞる中鉢の指先が、やたらと優しかった事…。

いやいや、大人を信用してはいかん!
早く忘れないと…!

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