今宵の月は美しい【完】
はっ…!?

思わず言ってしまった、アホか私は…。

「うふふ。中鉢くんかぁ。
うん、言ってた通りだね。
ヨリちゃん、面倒見て貰ってるもんなぁ。好きになるのわかるよぉ」

「違うよ!?戸川ちゃん、勘違いだよ!!
ちょっと世話になったから、戸川ちゃんにどうかなって私、思っただけであってだね!」

「うんうん。言わないから大丈夫。
麦茶飲みな?美味しいよぉ」

話し聞いてるか?妖精。

「言わないでね?
違うけど…」

帰り際にも、私は振り返り振り返り、頼んだ。
変な噂たったら、中鉢が可哀想だ。

戸川ちゃんは、ポンポンと私の頭を叩いていた。

「わかってるって!
もうー…、何十年、保健の先生やってるとおもってるのぉ?」

何十年?
やっぱり何歳なんだ、戸川ちゃん…。




昼休みに、一人でパンをパクついていた私に、珍しく話しかけてくる女子が居た。

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