今宵の月は美しい【完】
「私は生徒」

今度は何を今更、と呆れた顔になった。

「これは良くない関係なのでは?」

これと言うのはこの状況のことで、向かいあう私たち二人は下着姿。

狭い万年床の布団の周りには、昨夜の色事の名残。

中鉢は煙草を咥え胡坐をかいて、頭を掻いた。

「そうでもないよ。『あなたは彼氏、私は彼女』にしておこうってことになったじゃない」

「!?」

「忘れたのか…!?」

忘れようにも忘れられないような濃いことをした記憶は身体に残る。


しかし酔っ払っていて、実はあまり覚えていない。

ええと、いつものクラブでだいぶ飲んで…。
次の店に移動しようとしたら、中鉢に腕を掴まれたのだ。

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