今宵の月は美しい【完】
モデルか何かをやっているらしく、クラスの女子が雑誌を持ってきて、キャーキャー言ってるのを見た事がある。


私は、別に用はない。

向こうも多分ないはずだが、まさかと思って生徒指導室の前で振り返ったら、やっぱり目が合った。

間違いなく私は見られている…。
なんか、気に食わないのだろうか。

この金髪が、自分より目立つからとか?

でも怒っているようにも、ムカついているようにもみえないんだよなぁ。



「いらっしゃい」

いつもの生徒指導室で、中鉢は腕まくりして煙草をふかしていた。

週末のお泊りにて、私から取り上げた奴だ。
こいつは普段赤ラークだ、KOOLが似合わない。

「何も悪いことしてないよ?」

可笑しいぞ。

煙草を持つ中鉢の手は、前からこんなに男っぽかったか?

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