今宵の月は美しい【完】
今日は見慣れたスーツ姿なのに、先週とは違って見えるのはなぜだ。

「知ってるよ。
今日は褒めてあげたかったんだ」

「へ」

「月曜日のお昼前に、頼子を学校で見るのは初めてだ。
先生、とっても嬉しかった」

だからって、呼び出さなくても。


たしかに月曜日はだるい。
登校するのは午後からと決めていた。

今日はたまたま早起きして暇だったから、来る気になっただけ!

中鉢は、ニヤニヤしていた。

「もしかして、俺に会いに来てくれた?」

「は!?なに言っちゃってんの!?
そんなことあるわけないじゃん!」

そんなふうに思ってたのかこのオッサン。
勘違いも甚だしい!

「まぁ、いいや。ちょっとお手伝いして。
そこから画鋲持ってきて」

そこと指さされたのは、入口のつい立ての向こう。

< 21 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop