今宵の月は美しい【完】
泥棒かもしれん。
怪しすぎるし!!

「…受けて見ろ!
必殺、10cmヒール踵落とし!」

ミニスカートなら、言わないでも10cmの威力は伝わるのだが、今は見えないから一応伝えて見た。

でもジョニーは、ビビってくれなかった。

「ヤンノカ?コギャル。
俺ハ強イゼ?」

くっ!どうしよう。

首まで伸びた顎髭のせいで、表情は読めないわ。
白いTシャツには、「うみんちゅ」って書いてあるわ。

この怪しさには、たかが女子高生の私では敵わないっ。

「ただいま。何してるの?」

中鉢会いたかった!
丁度良い所にーっ!

「どこ行ってたの!?
変なのが部屋から出てきたよ!!」

「ちょっと本屋とコンビニ。
あれ、ジョニー来てたのか」

し、知り合い…?

中鉢は、なんでもないようにジョニーに向かって、財布から千円札を取り出した。

「はい。いつもありがとう」

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