今宵の月は美しい【完】
「毎度。オ釣リハナイゼ?」

「いいよ。とっておけよ」

「ククク…イツモ悪イナ。
トコロデ、コノコギャルハナンダ?
オ前ノ、コレカ?」

なんだその付き立てた小指は!?
ニヤニヤして、いやらしい!!

「それは浮気相手。この子は違うよ」

中鉢は笑って、否定した。

違うなら、なんなんだ。

ジョニーは「ククク」と呟きながら、壊れそうな階段を上って行ってしまった。

このお化け屋敷の住人なのか…。

「チューバチ…、今のはなんだ?」

「ジョニー?
2階に住んでる」

「なぜ、勝手に部屋に…」

「一階の部屋にしか、風呂ないんだわ。
近くの銭湯が改修工事中でさ。可哀想だから貸してるの。部屋の鍵も、それでいつも開けといてる」

な、なるほど…。

「牛丼屋に勤めててさ。
仕事帰りに買ってきてくれるんだ。良い奴だよ」

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