今宵の月は美しい【完】
言われてみれば、開けてくれた部屋の中からは良い匂いが。

「せっかく買ってきてくれたから、半分こしよう」

と、言うか先に聞かないのか。

なぜ私が、ここに来たのかと…。

なんて言おうか必死に考えていたのに、どうしたら良いんだ。

「……いつもそんなもん、食ってんの?」

「うん。料理はさっぱりダメだな。
学校で宅配のお弁当頼むのが、唯一の栄養源」

寂しい奴だ…。

こんな怪しい所に住んでいては、ずっと彼女もいなかったに違いない。

学校では、中でも悪い子たちの世話ばかり押し付けられて…。

……、なんかかわいそー。

今更私は、中鉢に同情しました。

「お夕飯作ってあげようか」

「!?作れんのか」

一応、母子家庭なもので。

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