今宵の月は美しい【完】
「じゃあ、食うなよ!」

「ゴメンナサイ」

「ジョニーは、悪気はないんだ。
日本語がうまく使えないだけで」

嘘だろ。
絶対わかって言ってるよ、こいつ!!

中鉢の優しさに依存しやがって。

「大丈夫。とっても美味しい。
俺は好きな味だよ」

「カレーハ、マズクハナランカラナ」

「黙れ、ガイジン!!」

皿を取り上げようとしたら、泣いて謝ってきた。

仕方ないので返してやった。




「ねぇ、... 頼子」

達したばかりの中鉢は、私の上で陶然としている。

先生、大好き!
気持ち良かったー!

とは恥ずかしくて言えないけれど、腕を伸ばして抱きついた。

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