今宵の月は美しい【完】
こんなこと、中鉢に言いたくないんだけどなぁ。

「…だって、…先生たちって、すぐ仲間扱いするじゃん。
停学なったときだって、他に吸ってる奴いたら、言えば停学免除にしてやるとか言われたしさぁ…」

そもそも友達なんていないのだから、言いようがない。

「誰が言った!?
そんなこと!?」

「担任の太秦さん。
友達いたって迷惑かけるだけだから、いらないよ」

「……。ありえない」

中鉢は大袈裟にため息をつき、本当に悲しそうな顔をした。

「悪かった。
太秦先生だって、悪気があったわけじゃないと思うんだ…。もっと不味い事になる前に、助けてあげたいって気持ちだったんだと」

「なんで、チューバチが謝るの」

大人代表って感じ?

「後悔してるから。
煙草だって、あの時俺が見つけて上げてれば、停学になんてさせなかった」

何と言う責任感。

中鉢もしかして、私の事好きとかよりも、責任感でこんなことしているのかなぁ。

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