今宵の月は美しい【完】
今度はゆるく繋がれ、中鉢の親指が私の掌を撫でる。

人差し指も加わり指まで撫でられ、微妙に怪しい空気だ。

「…エロいよ、これ」

「そう?」

余裕の笑顔だぜ。
一体どうなってるんだ...

「チューバチって、いつもこんなことしてんの…?」

私は、とんだことに巻き込まれているのかもしれない。

実は今まで全然気にならなかったけれど、中鉢、いつから彼女いないんだろう。

元々女子高生好きで、前にもこんな風に誰か先輩と、ここを歩いたりした?

聞いたら言うかな?

そんなの聞く女は、ウザいかな?


悶々としている私にはお構いなく、中鉢はご機嫌に夜空を見上げた。

「俺が何かするのは、月が綺麗な時にだけ。
もうすぐ満月だなぁ」

また、不思議な事を言っている。

私はドキドキとしながらその横顔を見つめ、また恥ずかしくなって俯いた。


そしたら、派手にこけた。

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