今宵の月は美しい【完】
「ああ、今日着いたんだ。親から」

やっぱり親だったか。

「救援物資ってなに?」

中鉢はスーツをかけつつ、ネクタイを緩めて言った。

「たぶん野菜だと…。半年に一回くらい、送りつけてくるんだ。
俺料理しないから、要らないって言ってるのにね」

「沖縄なの?実家」

「いや、親の出身があっち。定年して戻って、向こうで民宿みたいなことやってる…。
俺はこのへんで生まれて、このへんで育ったから、出たことない」

いろいろ初めて聞く。

先生の出身地やらなにやらって、そういえば知る機会ってないんだよな。

授業中に雑談見たく自分の話をする先生もいるけど、あんまり興味ないし聞いてない。

中鉢は、雑談すらほとんどしない。

「開けて見て。使えそうなのあったら、またなんか作ってよ」

「うん!」

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