今宵の月は美しい【完】
怒ってる。

居眠りなんて、いつもしてるじゃないか…。

みんなが「あ~あ」と言う顔で振り返っているから仕方なく、私は立ち上がり、指された所を読んだ。


しかも最後には、生徒指導室に呼び出されちゃったよ。

「居眠りくらいで呼び出すなんて、職権乱用ですよね?」

陣野さんにそう問いかけたら、彼女は慌てたように、読んでいた少女小説から顔を上げた。

「え!?なにっ?」

「古文のチューバチ、ムカつかね?」

私ってば、思ってもいない事を。

でもこれ、一応こうやって嫌いっぽくみせとかないとという演技です。

「中鉢先生の授業、わかりやすいよ?」

「あ、かばっちゃう?」

「あっ、そういうわけじゃ…!
でもきっとヨリちゃんのこと、心配してるだけだと思うから、その…」

話しかける相手を間違えた。

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