今宵の月は美しい【完】
でも他に話しかけても良さそうな空気の奴も、このクラスにいないんだよなぁ…。

「怒られるの怖いなら…。私、一緒に行ってあげようか?」

「いや、平気です」

でも、その気持ちはありがとう。

先生に怒られるのが怖いだなんて、その発想が私にはなかったよ。

なんだか新鮮だ。

「そっかぁ…がんばってね」

「さんきゅーです」

あれ?
ちょっと残念そうなのはどうして?

陣野さんは、少女小説を再び開いた。

その編み込みの三つ編みは、毎朝ご自分でやってらっしゃるんでしょうか。

器用だよね、きっと料理とかも得意だ。

私なんてこの前またカレー作ったら、ジョニーに「同ジ具デ、シチュー作レルノシッテルカ?」って怒られちゃったよ。

怒りかえしたけどね。

なら帰れ!と。

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