今宵の月は美しい【完】
放課後の生徒指導室は、いつもの噎せ返るような煙草の煙に包まれていた。

「いらっしゃい」

「毎度」

怒らないよ、この人大体。

涼しい顔をして中鉢は言った。

「たまには怒っておかないと、疑われそうで怖くてさ」

そんな事だろうと思った。

うーん、他の人から見たら、さっきの陣野さんじゃないけど、私と中鉢って犬猿の仲に見えてるんだろうな。

私も協力してるしな…。

「反省文でも書く?居眠りの」

「遠慮、しときます」

文章書くのとか苦手。
メールなら良いけど。

「…ねぇ、頼子。お友達出来た?」

「えー、なに」

なによ、唐突に。

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