今宵の月は美しい【完】
「大丈夫そうで良かったぁ。
それじゃ、私部活あるから行くね」

なんとなくこのまま別れるのもさみしくて、私は聞いてしまった。

このクラスの女子と?連絡事以外で口をきくのも、実はあまりない機会。

「陣野さん、何部なんですか…?」

「私?文芸部だよ。ヨリちゃんは何部?」

「私は、自宅警備員の仕事がいそがしいので」

あと、夜間繁華街見周りの仕事もしていました。

最近の週末は、お化け屋敷の管理人になっている。

「学校の部活入ってないの!?
それなら文芸部入らない?」

「へ」

「一年生少なくて、とっても困ってるの。
名前だけでもいいから……
そうだ!今から見学おいでよ」

「え、え??」

「ちょうど今日、一年生しかいないし」

大人しいと思ってた陣野さんは、とっても強引に私の手を掴んだ。

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