今宵の月は美しい【完】
吹田さんはたしか、中鉢と同じ年だ。

服の趣味が相変わらず最悪。

柄シャツに金のチェーンて、いつの時代のヤクザだよ?と。

仕事は金融業とか言っているけど、取り立て部門に違いない。

「お小遣いやろうか?」

気前良いじゃん。

でもそのお金、ママから貰ったやつでしょ、どーせ。

ママは夜の仕事のお店で知り合ってしまったらしいが、本当にこいつにとったら良い鴨だ。

「ありがと、吹田さん」

「はは、お父さんて呼べよ」

「!?」

なにっ!?

「もうすぐ、籍入れるんだわ。
お前にはまだ話してないって聞いたから、言っておくことにした」

聞いてないよ!?

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