今宵の月は美しい【完】
とりあえず原付を引っ張り、近くの公園に来てみた。

もう遊んでいる子供もいない。

薄い月がぼんやりとこれから浮かび上がるのを待っていて、これをみても中鉢は「綺麗だね」、と言うんだろうかと考えた。


誰に連絡してみようかと弄っていたら、突然鳴り出すケータイ。

驚いて、手から落としそうになった。

なんて良いタイミングなのでしょう。
メールかと思ったら、電話だ。

声が聞きたかったから、嬉しい。

かけてくれるの、初めてだなぁ……。

『頼子?』

「う、うん」

なんか緊張する。
さっき生徒指導室で、会ったばかりなのに。

『文芸部の子が今、鍵を返しに来て…。
お前がさっきまで来てたって』

ああ、その話。

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