今宵の月は美しい【完】
腕の中なら素直に話せてしまうのって、何。

『この痣、どうした?』

『どうしてやたら化粧が濃い日があるの?』

隠していた私の秘密は、たった一晩で言葉の通り、裸にされてしまった。

『…。それで夜遊びしてたのか…。
わかった。
そのママの彼氏がうちにきたら、ここに逃げてきたらいいよ』

私はどんなふうに答えて、それがどう中鉢の目に映ったのだか。

なんだかアンアン言っちゃってるだけで、全然言葉になっていた自信ないです。


でも、…。

大人にこんな話をしたのは、初めてだったよ。

こんなことしながらでしか素直に話せない私もどうかと思うけど、中鉢は先生のくせに良いわけ?

「良いの。
誰もしないなら、俺が頼子を守る事にする」

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