今宵の月は美しい【完】
それはつまり、私のパパになっちゃうと言う事で、ええと…。

「………」

説明できません。

『…おいで。これから帰るから。
家の人に、ちゃんと言って出てきなさい』

それは、友達の所へ行くと言ってきた。
あいつを家の人だと認めたくはないが。

「行っていいの?平日だよ」

『そうだな。
会いたいって言えば来てくれる?』

行く、すぐ行く。




やっぱり私の方が、お化け屋敷に着くのは早かった。

たぶん鍵は開いているんだろうけど、部屋に一人なのも寂しいから、玄関の前でしゃがみ込んだ。

足音に顔を上げたら、がっかりした。

「入ラネエノ?」

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