金曜日のコンビニ【短編】
「これお願いします」
「はい」
レジに並んだ彼に差し出されたチョコレートにバーコードをかざす。
すべての動作にいちいち神経が反応する。
緊張しすぎて筋肉が固まったみたいに体が動かしにくい。
だけど、このドキドキが何故か心地よい。
「200円になります」
「あ、はい。ちょっとまってください」
低くて甘い声。
聞きほれてしまう。
また、来週まで会えないのか。
そう思うと残念で少し顔が強張る。
「どうかなさったんですか?」
一瞬、誰に声をかけられたのか分からず動作が停止する。
すぐにそれが目の前の人だとわかり、顔に熱が集中する。